経済格差の大きいアメリカ。住む地域によって治安や学習環境も大きく異なりますので、子供を通わせる学校は慎重に選ぶ必要があります。本記事では、学校の評価を調べる方法をお伝えしますので、学校選びや居住エリアを選定する際に参考ください。
学区を選ぶ必要性
日本に住んでいると公立小学校の学区の良し悪しはあんまり気にしないですよね。中学まで行くと受験をして大学付属や中高一貫の私立学校に行くケースは多いですが、小学校は自宅の所在する地域の学校にお子さんを入れると思います。
ただ、それは日本の公立小学校の水準が一定基準を満たしており、どの学校に行こうが治安が悪くなることもなく、平和に学校生活を送る事が出来る、という大前提があるためです。
アメリカでは地区や通りによって住んでいる人種や所得層が大きく異なります。白人の富豪の家が立ち並ぶエリアのすぐ隣はヒスパニック系の小さい住宅の集合体だったり、下手したら治安の悪いスラム街だったりします。
つまり、住んでいる地域(CityやCounty)が一緒でも学校によっては白人が多い学校、ヒスパニックが多い学校、アジア人が多い学校など、学校の雰囲気や特色がガラッと変わります。雰囲気だけならまだしも、学校の学力や治安なども大きく変わるので子供の成長において大きな影響を及ぼします。
だからこそ、ちゃんと勉強を身に付かせるため、かつ平和に学校生活を送るためにも学区を選んで住居を選択する事が重要になっています。勿論これはローカルのアメリカ人でも同じで、そのために今日紹介するような学校の評価をまとめているサイトが存在している訳です。
どういう学校を選ぶべきか
学力と人種・所得には相関性が見られます。少し調べてみると分かると思いますが、白人とアジア人の生徒はテストのスコアがヒスパニック系や黒人の生徒よりも相対的に高い事が分かります。また、低所得家庭の生徒のテストスコアは、低所得以外の家庭の生徒と比較すると相対的に低い事が分かります。つまり、白人やアジア人の割合が多い学校の方が学力という面では良いスコアが出ている事が多いです。
そして我々日本人駐在員家庭がもう一つ気にすべきは、白人の割合が多すぎないこと、です。残念ながらアジア人を差別(軽蔑・侮蔑)する人も一定数いるのは事実です。子供本人が英語が話せるなら言い返せたりケンカできますが、日本から来たばかりだと英語も分からず、格好のイジメのターゲットとなってしまいます。
アジア人の割合がそれなりに多い学校では、同じ境遇の味方も多く存在しますし、人種ミックスな学校に来ている白人の生徒も多様な価値観を持っているケースが多く、トラブルになる可能性は低くなります。
学校の評価を調べる方法
学校の評価を調べるのによく使われるのはGreat!Schoolsというサイトです。これを見れば指定した学校の情報を事細かく確認する事が出来ます。
まずトップ画面左上にZip CodeやCityを入力し検索ボタンを押します。そうすると検索した地域の周辺の学校がリストアップされます。ここに表示されている数字は学校の総合評価のスコアを示しています。
自分の住んでいる(或いは引越しを検討している先)学区の学校を選びます。
学校名の青地の部分をクリックすると学校ごとの詳細ページに移ります。
例えばこの小学校(John Philip Sousa)であれば、総合評価は7/10になります。テストスコアは9点、Progressは8点、Equity(公平性)は4点となります。次に詳しく内容を見てみましょう。
学力を確認する
まずは、その学校の学力を確認してみます。
一番上位に表示されるのは「Student Progress」という項目で、学力の総評的なコメントが書いてあります。書いてある内容がやや抽象的なので、ここは点数だけ確認するだけで良いと思います。
すぐ下には「Test Scores」として数学と英語の学力が表示されます。州の平均も確認する事が出来るので、点数に加えて、州平均と比べて相対的に学力がどれくらい良いのか(悪いのか)を確認しましょう。
Equityの中のRace/Ethnicityの項目では、人種毎のTest Scoreも確認する事が出来ます。上記の画面の通り白人とアジア人のスコアが高く、ヒスパニック系のスコアが低い事が見て取れます。この傾向は概ねどの学校にも通じます。
更にそこから数学と英語の点数にブレイクダウンして確認する事も可能です。
もう一つ学力のスコアが確認できる画面があります。それはLow-Income Students項目の中にあります。
上記画面の様に①学校平均②低所得家庭の平均③低所得家庭以外の平均値がスコア化されています。想像以上に所得による学力差がある事が分かります。
子供は特に周囲の環境によって様々な影響を受けますので、学力が高い環境で教育を受ける事は重要だと思います。ですので、上記で示した画面を確認し学校の学力を入学前に調べておく事も大事になってきます。
学校環境を確認する
次に学校環境を見ていきます。どんな人がいるのか、生徒や先生の人数など規模はどれくらいなのか、色んな情報を確認する事が出来ます。
こちらの画面では、人種の割合、第二言語として英語を学習している生徒の割合、低所得家庭の割合、男女比が分かります。冒頭にも記載した通り人種に大きな偏りがあるとトラブルの原因にもなるので必ずチェックした方が良いです。
また、日本から駐在出来ている家庭にとっては「Students Learning English」の割合が多い方が好ましいと思います。英語を学習中の生徒が多い方が「英語が出来ない」という事で孤立するリスクを減らせます。
続いて上記の画面は先生やスタッフに関するデータがまとまった項目になります。とりわけ気にするべき項目は「生徒と先生の比率」「NurseやPsychologistが常駐しているか」「セキュリティガードが常駐しているか」ここら辺でしょうか。各項目の下部に州平均のデータも載っているので平均値と比べる事も可能です。
こちらは障害を持つ生徒に関する情報です。授業の進捗具合やテストスコアが確認できます。
上記の画面は、人種毎における欠席率を示しています。この場合、白人は出席率が高く、ヒスパニック系の出席率は白人よりも低い事が見て取れます。
【便利機能】指定した学校の比較リスト
最後に、複数の学校を比較したい時に使える便利な機能を紹介します。この機能を使うには、事前にアカウント登録しておく必要があります。(勿論無料です)
まず比較対象となる学校の画面にいき、上記画面の黄色部分「Compare」ボタンを押します。押下するとCompareという表記からSavedと変わります。
比べたい学校を一通りSaveしたら、次に画面上部のListボタンを押します。
そうすると上記の様な画面で、指定した学校の比較一覧を見る事が出来ます。
学力のスコアも一目瞭然なので、複数の学校で迷っている場合には非常に便利な機能です。ぜひ活用してみて下さい。
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